Saashi&Saashiさんたちのスタジオ訪問

春の始まりのような暖かい日に、京都のSaashi&Saashiさんたちのスタジオに遊びに行ってきました~。Saashi&Saashiさんといえば、こちらのゲームたち。パッケージを一目見れば印象に残ってしまう関西屈指のおしゃれ系ボードゲームレーベルさんです。
Saashi&Saashi コーヒーロースター Saashi&Saashi Aコードで行こう

実はお二人のレーベルはゲムマ2015大阪でデビューした同期なのですが、お互いイベントに出ることだけで必死すぎて(笑)初めてお会いできたのはゲムマ2015秋の打ち上げ会。Saashi&Saashiさんは京都、ぐうのねは大阪なのになぜ東京で!と周りの方にもツッコまれつつ、「また会いましょう!」と固く誓ったのでした。

その約束を果たしに、いざ京都へ!

ぐうのねからは紅陽とことりが向かわせていただき(あつしさんは来れなかったのが残念です)
Saashi&SaashiさんからはゲームデザイナーのSaashiさんとイラストレーターの宝井貴子さんが迎えてくださいました。

お二人はあまりオープン会などには参加されないとのことで、同じ関西勢からもちょっとだけ謎のベールに包まれたイメージ。ちょっと(かなり)ドキドキしながらスタジオに案内していただきました♪

スタジオ訪問

こじんまりしたマンションを上がっていくと…まあなんておしゃれかつほっこりする空間!しかもお部屋の中まで土足OK!お店か!外国か!(Saashiさんが冷え性だからとのことです。確かに靴なら温かい)

お二人ともアンティークな雰囲気の家具がお好きとのこと。あちこちにある照明もちいさくて暖かい色ばかり。あざやかなグリーンのデスクに鎮座するMac。デスク横にはどーんとボドゲ棚。すぐ手の届くところにあるノートやファイル。メモの断片。キッチンからはSaashiさんがハンドドリップで淹れてくださっているコーヒーのいいかおり。コーヒーとても美味しかったです。

(ブログを書きつつ、文字じゃ伝わらないなぁと思ってスケッチで表現してみます。写真を撮ってなくてあくまで印象なので、実際とはいろいろ違うかも)
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この場所の呼び方は、自宅でもアトリエでもなくご本人たちがおっしゃっているとおりまさしくスタジオだ…!と。おじゃましてすべて納得しました。ここであのSaashi&Saashiさんの作品が生まれたのです。「Aコードで行こう」も「コーヒーロースター」も、あまりに自然にそこに馴染んでいました。

ワークスペースというか「何かを作っている場所」の雰囲気がすごく好きな私はワクワクがとまりませんでした。お二人の生活の中心が、いまはボードゲームなんだなと思いました。

美味しいコーヒーとふかふかのロールケーキを囲んで、トークはなごやかに世間話から。

こだわりの家選びと文房具トーク

以前までの大阪でのお住まいは少し広めだったそうですが、そこで所持していた大好きなアンティークテーブルをはじめ、大好きな本もゲームもかなり手放さなければ引っ越しできなかったという、こじんまりした現在のお住まい。街の雰囲気をとても重視して選ばれたそうで、不動産屋さんもびっくりするほど通りや町名まで最初からココ!と絞って探したそうです。自分たちの拠点も、身の回りのものも、好きなものを厳選して暮らしていこうと決められたんですね。すごい。なかなかできることじゃありません。
(おしゃれな暮らしは、住むとこ選びからすでに始まっている…。)

文房具トークも盛り上がりました。ゲームデザインのアイデアは紙に書き溜めるタイプだそうです。Saashiさんはメモ魔で、決まった大きさの紙片にアイデアを書き溜めてストックされていたのが面白かったな。10年ダイアリーもつけていらっしゃるとか。貴子さんは何か新しいことを始めるたびに新しいノートを買ってしまうのだそう。文房具が気持ちを高めてくれることを重視されてるんですね。女子的にめっちゃわかります。

実際のお二人はオンライン上の印象と少し違って、すごくいっぱいしゃべってくれる!きっと、こだわりポイントがたくさんあって、一つのものを選ぶにもいろんなストーリーが背景にあって、それも含めて思い出みたいに大切にされているんだなぁと思いました。

私はお二人に「アナログゲームを作ることになった背景」を聞きたいと思っていたので(ここまでの印象でもだいぶ断片は見えていましたが)ちょっと聞いてみました。

アナログゲームを作ることになった背景・趣味など

お二人とも、同人文化にはそれほど親しんでこられなかったそうです。そう、ここがぐうのねと大きく違うところ。

ぐうのねは紅陽さんが買い専で創作ジャンルの同人誌をながらく買っていましたし、ことりも高校生のころから二次創作で同人活動をしていたくらいなので、いわゆるオタク寄りの人なのです。(オタクというには全然浅いですけどね)

Saashi&Saashiのお二人は趣味もマジでおしゃれ。インストゥルメンタルな音楽のバンドをしたり、美術館に行ったり。Saashiさんは学生のころ自分たちのサッカーチームのフリーマガジンみたいなのをひとりで執筆編集して仲間内で配ったりしていたそうです。(その経験がお二人のWEBサイトで展開されている企画の「Talk&Talk」に活きている気がしました。)

なお、お二人とも絵を描かれるとのこと!貴子さんだけじゃなかったんだ〜。

そして、発表こそしていなかったものの、Saashiさんは長い間オリジナルのボードゲームを考えることがお好きだったみたいです。サッカーを見ては、刺激されてこんなゲームできないかなと考えたり。わりとテーマや方向性ありきでゲームのアイデアを膨らませるタイプのようですね。

とくにSaashiさんのサッカー好きはかなりのもので、2004年に出たサッカーゲームの選手エディットを毎年選手が変わるたびに数週間!?かけてやっていたそうです。またオリジナルの選手年鑑にその年の成績や寸評(!?)を書き溜めてファイリングされるほどとか。なんかもう、監督目線でサッカーを見てる。これをボドゲに活かしたいと強く思っているそうですが、貴子さんがそこまで興味を持てないから却下されているとか(笑)

またSaashiさんは歴史ものもかなりお好きだそうですが、取り上げたいネタがニッチすぎて歴史好きでも反応しづらいレベルらしく、これも貴子さんに却下されるそうです(笑)

ゲーム制作はSaashiさんが貴子さんを誘って始められたそうですが、なんといっても二人三脚の活動なので一人だけの好きなものには突っ走らず、二人で納得して進めていけるものを取捨選択されているんですね。

ちなみに貴子さんのイラストがあの絵柄になったのはボードゲームを作り始めてからで、もともとはクレヨンや色鉛筆をつかった絵本のようなタッチだったそう。これも意外なことでした。

というわけで、個人的になにかを作ることはかなりいろいろされていたようですが、イベントに出て自分たちの作品を販売するといった活動はこのボードゲームが始めてだそうです。これが私達には驚きでした。だってあのクオリティですよ…!

ゲーム実物を見てのトーク

ここからはデスクにお互いのサークルからリリースした作品をばっと並べ、かなり具体的な作り手談議に花が咲きました。

うちからは「チューリップ・バブル」、コラボ作の「タロットストーリア」「ブタバベル」を持参。「チューリップ・バブル」はちょうど「Aコードで行こう」と同時期に制作していたので、ルールブックやチラシなどかなりじっくり観察してくださっていたらしいです。手作りコマにくらべてたいへん地味な作業ではありましたが、見てもらえていたなんて…!嬉しいなぁ。

「タロットストーリア」と「ブタバベル」はコラボ作業の分担具合とか、お互いのサークルにとって良かったことなども聞いてくださいました。

他のサークルさんの制作過程のツイートやブログ記事をみるの楽しいよね〜!という話にもなりました。作り込みや思い入れについてもわかりますし、同期のサークルさんからはすごく刺激も受けたりして。

でも宣伝しすぎてうんざりされないかなと、お二人はブレーキをかけがちだそうです。もっと宣伝されても全然大丈夫だと思うけど、それもなんだかSaashi&Saashiさんの落ち着いた印象につながっているかもしれないし、さじ加減は本当に難しいですね。

「コーヒーロースター」はその美しいチップやビーンズシートを改めてじっくり見せていただき、「Aコードで行こう」は実際に遊ばせていただきました♪めっちゃわかりやすいお二人の説明でサクサク楽しくプレイ!Saashiさんと私(ことり)が45点で同点勝ち。

お二人のリリースされたゲームは実物を見てのとおり、こだわりが細部にわたって徹底されていました。

「こういうものを作りたい」という具体的なイメージありきで、じゃあその仕様でつくってくれる印刷所さんはどこなのだろう、と探す。それもボードゲーム向けの印刷所さんではないところにどんどん新規開拓していく勢いで。そしてそれぞれのコンポーネントごとに違う会社さんとお取り引きをして製品を作っていく。それには相当な時間や手間がかかるそうです。ここがまず本当にすごい。

飲み物のコップの下に敷くコースターをコンポーネントにしちゃったり。コンポーネントが美しく仕舞える箱の中の仕切りをオーダーしちゃったり。理想のエンボス加工を求めて海外の会社さんにオーダーしちゃったり。

普通だったらそこまでできない〜!と思うところを、お二人のサークルではやってしまう。理想を形にすることを一番大事にされているのだなぁと思いました。

ぐうのねは印刷所さんの仕様にあわせていくほうで考えてしまうので、かなり違いを感じました。ただただすごい。いろんなスタンスの作り手さんがいることもゲムマ界隈の面白さの一つ。これからもSaashi&Saashiさんらしさを突き詰めていってほしいものです。

さて、お気に入りのゲームを遊ぼう!

だいぶ込み入ったマジな話に及んだところで自分たちのゲームは片付け、貴子さんお気に入りの小箱ゲーム「すき間に入れて」を遊ばせていただきました。「Qwixx」や「ザ・ゲーム」のNSV社さんのゲームですね。

「この会社さんは、中身がしっかりしたゲームばっかり出されてて、繰り返し遊びたくなってほんと好きなの!」と貴子さん熱弁。おお、わたし(ことり)はこんなにゲームを語れないぞ。貴子さんスゲェ。とひそかにリスペクトが高まりました

やってみるとこれがほんとに面白い。基本は手札を早くなくせば勝ちなので、どんどん出したいのに、足を引っ張り合ってなかなかうまく行かない。でも連続手番でめっちゃ出せたときの爽快感もある。途中までことりが圧勝だったのに、最後の紅陽さんの早上がりでもくろみが崩れ、貴子さんの勝ち!(あれ?紅陽さん勝ってない)

ちょうど日も沈んだところで予約していただいていた夕食の時間がやってきたので、名残惜しい気持ちをこらえてスタジオをあとにしました。

スタジオを出て

雰囲気のいい通りにはあちこちに小さくて素敵なお店がいっぱい。ほどなくして着いたお店ではおいしいイタリアンの夕食をいただきました。サッカー選手のエディット話はここでめっちゃ詳しく聞きました。貴子さんがときおり「私達おしゃれな話できてる!?」って確認してたのが面白かったです。できてなかったです。(笑)

キューピットメニュー表は手書きでみたことのない品もあったりと面白いお店でした。そこで気になった「キューピット」を紅陽さんが注文したのも夕食のハイライト。ハート型のグラスにハートのついたマドラー。それを一人で飲む紅陽さん(笑)原液のカルピスをコーラで割ったものなんですが、思いのほかおいしい!これ大阪発祥の飲み物だったんですね。生粋の大阪人だけど知らなかったよ。調べてみると大阪では絶滅したものの京都、奈良、滋賀、兵庫、和歌山などのマニアックな喫茶店では今も愛飲されているとか。

※写真はSaashiさんからお借りしました。今回、スタジオ訪問♪とか言っておきながら、楽しいお話の数々にぐうのねはすっかり夢中で写真を撮りそびれており、まったくどんだけボンヤリしていたのかと猛省中です。

帰路、そしてまとめ

またまた名残惜しくも帰りの時間がやってきたので、駅まで親切にお見送りくださったお二人。同じ関西にこんな素敵な作り手さん仲間がいることに心あたたまりつつ帰路につきました。電車に乗るとすぐにタブレットに今日の感想を書き始めました。そのくらいワクワクが刺激される一日だったのです。

確かなボドゲ愛と幅広い趣味から実を結んだアイデアが、Saashi&Saashiさんお二人のおしゃれフィルターを通して(ここ重要)デザインされ、たくさんの会社さんのサポートを経て世に送り出されているのだとわかりました。

これからも同期サークルとして応援していきたいと思います!

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2016/03/22 | カテゴリ: